2025年4月15日火曜日

モラレス『徳島の盆踊り』 1916

著者のモラレスはポルトガル人で1854年の生まれ、軍人としてアフリカ、マカオに赴任した。1898年に帰国命令が出た時、断って日本に赴いた。1929年に死ぬまで日本にいた。まず最初は神戸で、後徳島に移り住んだ。その徳島での随想が本書である。

まず日本の古典的随筆、枕草子だの、方丈記だの徒然草などを紹介し、日本人の物の見方、感じ方を説明する。続いて日本の生活の実際、これは現在の我々にとってももはや知らない事情なので興味深い。続いて死生観があり、当時の徳島で自分が住んで来た経験から様々な考察をする。書名となっている盆踊りは阿波踊りだろうが、これについてだけ詳しく話しているわけでない。あくまで一つの話題である。

近代初期の日本に住んだ西洋人としては小泉八雲が圧倒的に有名だが、このようなポルトガル人で日本を気に入り永住した者がいると今回初めて知った次第である。(講談社学術文庫、岡村多希子訳、1998年)

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