関川秀雄監督、日教組プロ、104分、白黒映画。広島への原爆投下を扱った映画。原作は新藤兼人監督の映画『原爆の子』と同じ本である。新藤作品がドラマになっているので、記録映画風に作られたのが本映画。
初めは映画製作当時の広島の学校から始まる。原爆症で入院している級友がいる。教師の岡田英次が原爆を経験した子は手を挙げてと生徒たちに言い、原爆症について話し合う。映画は原爆投下当時に戻る。原爆による被害状況が映し出される。直後の広島の惨状を映し出した映画は少ない。山田五十鈴演じる母親は子供たちを心配しながら死ぬ。月丘夢路演じる学校の教師は生徒たちと逃げるが川で倒れる。子供たちを捜す父親は原爆症にかかり寝込む。子供二人が以前のうちに戻って来たところを知り合いの婦人に連れられ、病院の父親に会いに行く。父親は死んでいた。それを見て妹は父親じゃないと叫び逃げ出す。兄は妹を捜すが見つからない。
戦後になる。戦災孤児たちが土産物を売っている。あの兄が成長して、子供たちにもっと売れる品物があると言って、島に連れていく。下を掘ると多くの白骨が出て来た。空襲の死者たちである。その頭蓋骨を売ろうしていたので、警察署で取り調べを受ける。岡田扮する先生が来る。岡田は元生徒にどうしたと聞く。もう工場はやめたと答える。なぜかというと工場が銃弾を作り出したからだと。また戦争が始まるのかと岡田に尋ねる。映画の最後は広島の平和公園の方へ、多数の人々が道一杯になって行くところを俯瞰撮影した映像である。