2021年7月30日金曜日

パラダイン夫人の恋 The Paradine Case 1947

ヒッチコック監督、米、114分。グレゴリー・ペックが弁護士役で法廷中心劇。

パラダイン未亡人(アリダ・ヴァリ)に夫の殺害容疑がかかり逮捕される。グレゴリー・ペックが弁護士になる。果たして実際の犯人か。亡夫は英雄的な軍人だったが、盲目であった。映画の中心はペックがヴァリに恋をし、何としてでも無実にしたいという思いに駆られる様である。それには亡夫の自殺か、その世話役の比較的若い男の仕業にするしかない。実際に弁護士が依頼人に特別な感情を持ったとしても、それを隠して弁護に当たるのが普通であろう。ともかく弁護士は被告の無罪を勝ち取るのが目的なのだから。ところが本映画では、ペックは夫人に対する恋情のため、恐ろしく感情的になり、自分の夫人への思いを露わにして裁判の場でも言動する。辣腕弁護士という設定のはずだが、およそ現実的でない。裁判の最後の方になって真相が分かり、ペックは赤っ恥をかかざるを得なくなる。

本映画は「パラダイン夫人の恋」と邦訳されているが、原題は「パラダイン事件」である。観てみるとそれほどパラダイン夫人の恋が中心の話かと思ってしまう。パラダイン夫人演じるアリダ・ヴァリは『第三の男』や『夏の嵐』などでも名が知られている。ただ本作のヒロインはペックの妻(アン・トッド)ではないかと思わせる。世話好きで夫のために口出しなどをする、どこにでもいる妻役である。そういう意味では個性的な役ではないが、最後まで夫を支える夫人を演じている。全然ありふれた役で中心になる女というのは珍しい。映画好きは悪人や奇人をやたらと称賛し、個性的な俳優を持ち上げるのが常なので書いておきたい。ヒッチコックの映画の中であまり評価されていないのは分かる出来ではある。

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