2021年6月4日金曜日

アンナ・カレニナ(英の映画) Anna Karenina 1948

デュヴィヴィエ監督、英、118分、白黒映画。ヴィヴィアン・リー主演。

何度も映画化されているトルストイの原作をヴィヴィアン・リーが主人公を演じ、デュヴィヴィエが監督を務めた作。非常に長大な原作を映画化するにあたって、かなりの刈り込みが必要となる。本映画ではリョーヴィンとキティの話は例によってほとんど省略である。原作はアンナとヴロンスキーの破滅過程とキティ、リョーヴィンの幸福実現過程が並行して描かれ、アンナが自滅するしかない心の様がトルストイの微に入り細を穿つ筆致によって説得的に綴られる。人妻が不倫によって破滅するという通俗この上ない話を、小説の凡てが詰まっていると言われるほどの世界文学の傑作にした。

文学を映画化する場合、上に述べたように省略や脚色があるのが普通である。だから原作のここがないから良くないなどは、ないものねだりで、あくまで映画の出来を評価すべきである。ところで本映画はどう評価すべきか。観て原作の雰囲気が比較的感じられると思った。映画としての出来を論じるべきといったすぐ後で原作云々はおかしいと言われそうである。ただ原作を何度も読み返し、他の映画化作品も観ているとどうしても原作を思い出してしまうのである。

0 件のコメント:

コメントを投稿