2021年6月18日金曜日

脱走者 Дезертир 1933

プドフキン監督、ソ連、106分、発声映画である。

1930年のドイツの港町から始まる。造船労働者たちはストライキをうつが、必ずしも労働者たちの思惑は一致していない。組合の指示でなければすべきでないという意見もある。ストライキ崩しがやって来る。警官隊が来て、発砲し多くの労働者が斃れる。代わりの労働者を雇って今の者たちを排除しようとしている。労働者たちは集会で議論する。ソビエトへの派遣が決まる。4人の候補者はほとんど高齢者が推薦されるが、一人だけ若い男が加わる。ソ連での映像。多分実際の映像の流用なのであろう。大都会の通りに群衆がひしめいている。ドイツからやって来た者の代表が挨拶する。ソ連の素晴らしさを故郷に伝えると言う。一人だけ、あの若い男が残ってソ連で働くようになる。ディーゼル機械を開発する工場で働く。別の工場からディーゼルが来ないので仕事が出来ないと苦情が来る。労働者たちは奮励努力して予定より早く仕上げる。完成の祝いの集会。貢献のあった労働者の名前が呼ばれ称賛される。特にあのドイツから来た若い男が檀上に上がる。演説をする。ドイツ語なのでロシヤ語に通訳されて聴衆に伝える。自分はドイツの地でみんなが苦労しているのに、ここへ来たのは仕事があって金が入るという思惑からだった。いわば脱走者である。この告白に割れるような拍手が起こり、若い男を讃える。男はドイツに帰郷し働くようになる。

ソ連の映画だから初めのうちのドイツでの部分も凡てロシヤ語である。若い男が演説するところだけドイツ語になり、ロシヤ語に逐次訳されて民衆に聞かせる。時代が時代だけにソ連称賛に満ちた映画であるが、ドイツで労働者たちがソ連を評する時、ソ連の体制はいいが独裁者がいるという台詞が出てくる。こう言っても良かったのかと思ってしまった。

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