2020年6月28日日曜日

ツルゲーネフ『ルージン』 Рудин 1857

ツルゲーネフの長篇第一作。主人公ルージンは、もっともらしい議論で周囲を感嘆させるが、実行力はない。ロシヤ文学の典型的人物の一つである「余計者」を描いた小説である。

田舎の女地主宅に集まっている人々、新しく参入したルージンは単に嫌味ばかり言っている男をへこまし、説得力ある理屈を展開して人々を魅了する。
その家の娘であるナターリアに恋の告白をする。女もその気になるが、母親はそれを知って娘を厳しく諫める。ルージンとナターリアは二人で会う。ナターリアが母からもう会うなと禁止されたと告げる。ルージンはそれなら仕方ないと答える。娘は自分を攫っていってくれると期待していた。二人は別れる。
後日談もそれなりにある。最後はパリの革命騒動に参加してルージンは命を落とす。

妨げられた恋の打開策の男と女の対応は、『けむり』と正反対である。本編のほうが女の役割としては良く聞くであろうか。
工藤精一郎訳、集英社世界文学全集第37巻、1978

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