2014年9月23日火曜日

M

フリッツ・ラングによる1931年の映画。ラング初の発声映画である。殺人鬼を描いた映画として名高い。

 
子供たちが歌を歌って一人を負けとする遊びをしている。歌詞が悪趣味で大人が注意する場面から始まる。その頃少女の誘拐殺人が続いており懸賞金がかけられていた。少女がある男に手なずけされ誘拐される。彼女も犠牲者となったのだ。犯人はグリーグの『ペールギュント』を口笛で吹くのが癖だった。犯人は少女を連れていく前に風船を買って与える。その口笛を風船売りのめくらの老人が覚えていた。警察は度重なる犯罪に総力を挙げて取組み、方法についても侃侃諤諤の議論をする。同時にならず者の集団もこの犯罪を議論していた。警察は街中を監視するため乞食の集団を利用することにする。犯人がまた誘拐を企てたとき口笛を聞いためくらの老人が気づく。若者に伝え、彼は手に白墨でMの字を書きそれを犯人にぶつかったとき背中に印として残しておく。彼はボスに電話で伝える。ならず者たちが犯人を追いかける。あと一歩でビルの中に逃げられてしまう。夜にそのビルに忍び込み捕まえる。犯罪者の集団は彼を吊し上げ、私的裁判にかける。犯人がやりたくなかった、そうせざるを得ない自分だと弁解するが聞き入れられず、ならず者たちに襲われそうになるが・・・

 映画をみてまず感じたことはラング初の発声映画であり非常に饒舌に思える。無声映画を見慣れているせいかそう感じる。警察や犯罪者たちが議論するところなど喋りまくりである。この映画はフィルム・ノワールの先駆けとなった作品だそうだ。犯人がならず者集団に追われる部分が結構長い。正直今みるともう少し緊張感のある作りを期待してしまう。この映画が作成される直前というかその最中に「デュッセルドルフの吸血鬼」と呼ばれたキュルテン(1930年逮捕)の連続大量殺人事件があり世間を恐怖のどん底を陥れていたので、その映画化かと思ってしまわれたようだ。ラング自身はいろいろの連続殺人から着想を得たと語っている。

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