2014年9月22日月曜日

ドクトル・マブゼ

フリッツ・ラングによる1922年の無声映画。全体で4時間以上に及ぶ大作である。第1部、第2部に分かれ別の映画として上映されたが、話は続いており前篇、後篇である。

 
話は第一次大戦後の経済社会が混乱したドイツが舞台。マブゼ博士という精神分析医が悪の統領となって起こす犯罪とそれに立ち向かう検事の闘争が中心となって進む。
マブゼ博士は策略によって株式市場で大儲けをしたり、贋札を製造したり(超インフレ期なので意味があったのかと思うが)、また催眠術をかけて賭博で儲けたりする。
手下がつかまると発覚を恐れ殺害してしまう。博士は変装の名人で検事をだますなど怪人二十面相と明智小五郎の闘いの原型かと思ってしまう。
マブゼ博士は催眠術で破滅させた伯爵の夫人に懸想し誘拐する。博士こそ悪党の首謀とわかった検事は警官隊を引き連れ家を襲い銃撃戦となる。

 ともかく2部に分かれているもの夫々が2時間以上の長尺なので見通すのは結構疲れる。次々とエピソードが続く連続もののテレビ活劇のようである。しかしながら映画をみていると第一次大戦後のドイツの混乱した状況、まさかこれが典型的、普通だったと思わないが実感できる。パプスト監督の『パンドラの箱』についてもそう感じた。これも昔の映画の鑑賞がもたらす楽しみの一つであろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿