2014年9月17日水曜日

パンドラの箱

ルイーズ・ブルックス主演のパプスト監督による1929年のドイツ映画。主演のブルックスはアメリカ人でドイツ語は知らなかったが無声映画なので問題なかった。


ともかくブルックスの魅力を堪能する映画である。映画そのものも第一次大戦後の混乱したドイツが舞台となっており、作品として十分見ごたえがある。それにもかかわらず黒髪おかっぱ頭がトレードマークの主演のブルックスの存在感は抜きんでておりどうしてもそちらに目がいってしまう。男を虜にして破滅させてしまう妖婦なのだが、妖婦という言葉とは正反対の無邪気であどけない笑顔をとりおり見せる。ふさわしい主演を求めて監督のパプストは奔走したらしいが、その努力は十分報われ、映画史に残る名画が生まれた。

クラシック音楽ファンなら知っているベルクの歌劇『ルル』と同じ原作である。
踊り子のルル(ブルックス)は中年の紳士を虜にし、それまでの婚約を破棄させ自分と結婚する約束までさせる。ルルの父親と称する怪しい老人などが出入りし紳士は心休まらない。実は紳士の息子の若い男まで籠絡していた。披露宴の日に絶望した紳士はルルに自殺を迫るが暴発的に自らが命を落としてしまう。裁判でルルは有罪判決を受けるが取り巻き連によって逃亡する。その後船での賭博、列車での逃走などを経てロンドンにたどり着く。もうルルの一味は惨めな暮らしを送るしかなかったので・・・。

 繰り返すがルイーズ・ブルックスは素敵である。これほど主演女優に魅せられた映画はない。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿