2020年7月2日木曜日

生きものの記録 昭和30年

黒澤明監督、東宝、103分、白黒映画。
核戦争の恐怖におびえる主人公の鉄工所の親爺を三船敏郎が老人として演じる。

家族そろって、核戦争から逃れるためブラジルに移住しようと企てる三船に子供たちはみんな大反対である。家庭裁判所の調停場面から映画は始まる。調停員の一人が歯科医の志村喬である。
なんとかして準禁治産宣告を出そうと躍起になる子供たち。それ以上にブラジル移住を主張する三船の執念は凄まじい。鉄工所という資産があるからみんな日本に執着している。三船はとうとう最後の手段として鉄工所に放火し、工場は焼尽に帰す。工員たちは三船の所業と知り、自分たちの生活はどうしてくれるのかと怒り出す。三船はお前たちもブラジルに連れていくと言い出す。禁治産に留まらず、三船は精神病院に収容される。

この前年にビキニ環礁の核実験による第五福竜丸事件が起きた。改めて日本人に核の恐怖を知らしめた。そういう状況で制作された作品であるが、不評で黒澤映画としては初の赤字になったという。
むしろ現在見直すと、その評価は改められるのではないか。

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