2018年11月30日金曜日

道化師の夜 Gycklarnas Afton 1953

スウェーデン映画、イングマール・ベルイマン監督、93分、白黒映画。
映画の前半は小津安二郎『浮草物語』を思い出させる。行き詰った巡業サーカス団、打開しようとする団長及びその愛人の苦悩を描く。
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馬車で移動するサーカス団。馬車で目覚めた団長は御者台に乗り、かつての道化師の挿話を聞く。大砲射撃訓練をしていた軍隊の兵士に弄ばれた道化師と妻の話である。

サーカス団が着いた町。そこには団長のかつての妻が住んでいる。既にカネも衣装等道具もなく興行できるかおぼつかない。団長は、同じ町で巡業している劇団に衣装等を借りに行く。愛人にも正装させて連れていく。そこでプレイボーイの若い役者が愛人を見初め、くどく。愛人は相手にしない。

団長は以前の妻が経営する煙草屋へ行く。自分の子供に会う。妻にきくと店は順調らしい。かつて捨てたことを謝ると、かえって良かった、サーカスには耐えられなかったとの返事。団長は自分もこの家にいたい、サーカスはもうだめだという。しかし妻に拒否される。自分の生活を守りたいと。

団長が妻のところへ行く際に愛人は、自分を捨てないよう頼んでいた。しかし、にべもない返事で、愛人もサーカスに愛想をつかし、劇団へ行く。あの色男に会う。彼に劇団にいたいという。色男はさんざん弄び、愛人をものにする。くれたペンダントを店に持っていくと模造品と言われる。団長は愛人をなじる。すっかり嫌気がさす。
夜の興行もあの劇団員らがやって来る。愛人の乗馬芸は妨害で落馬する。団長はプレイボーイと戦うが完全に打ちのめされる。明くる日、サーカス団は落魄してその町を発つ。

侮辱を受けみじめになる様を描いた映画としてこれほどのものは少ない。愛人役の女優は派手な顔立ちの美人である。
なお前半の設定が酷似している小津安二郎の『浮草物語』も調べたら、米映画にならったものだそうだ。

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