2018年2月21日水曜日

スワノセ・第四世界   昭和51年



上野圭一監督、製作上映委員会による総天然色記録映画。
諏訪之瀬島は鹿児島沖、吐噶喇列島の一つの島である。この島とそこに住む人、ヒッピーなどの外来者を描く。自然保護、エコロジーを訴えた映画である。

まず形式的に変わっているのは全編、日本語と英語両方の言語を使っている。冒頭、新宿で、諏訪之瀬島の映画を撮ると話をする。その際、英語が同時通訳のようにかぶさっている。英語の歌が流れる時は字幕が出る。英語の字幕が出る時もある。海外での上映を意識したものであろう。

島民の生活は、原始共同体かのような説明がある。漁もみんなの物になる。
この島に住みついた外来者もそれなりにある。都会からやって来てここに住む若者などが映し出される。日本人だけでない。西洋人も出てくる。
ウィキペディアによるとかつてヒッピーの聖地とされ、1960年代から70年代にかけ内外のヒッピーが訪れたそうだ。

この島に開発の波が押し寄せる。ヤマハによるリゾート施設、飛行場の建設である。映画はこれを資本主義の大企業による楽園破壊と描く。米西海岸でヒッピーの若者が諏訪之瀬島保護を訴える。

映画の主張は明瞭である。開発より自然そのままが大切である。当時なかったエコロジーなどの言葉も出来、一般の意識も現在の方が高まっているであろう。しかし現在このような映画が作れるであろうか。開発を破壊の権化のように言っているが、それを承諾した島側もいるのである。大企業を攻撃していればよいように見え、時代を感じさせる。

なおリゾートはこの映画の翌年に開業、5年で閉鎖したそうである。飛行場も村が管理しているとか。

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