2018年2月7日水曜日

海を渡る友情 昭和35年



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望月優子監督の第一回作品、東映教育映画部、白黒映画。
朝鮮へ帰ろうとする一家の子供を中心とした話。

千住あたりの下町。現代の目では一見、貧民窟?と思うかもしれない街並み。しかしこの程度の町は当時では珍しくなかった。
いたずら坊主どもが朝鮮人の子をいじめている。また動きがおかしい朝鮮人の女をからかう。このいじめていた子供の一人の父親は朝鮮人だった。父親は他の仲間からの勧めに従って朝鮮へ帰ろうとする。しかし日本人である母親は反対している。子供には今まで朝鮮人の子と話していなかった。水戸光子の母は別れて田舎へ戻ろうとする。加藤嘉演じる父親は子供に自分は朝鮮人だと話す。子供は衝撃を受け、家を飛び出しその後学校へも行かなくなる。

学校の先生や級友たちが彼を捜す。ようやく見つかる。みんなは子供にこれまでと同様の友情を示す。母親も心を入れ替え、朝鮮へ行くことを決意する。
子供は朝鮮人学校へ行って朝鮮語等を習う。朝鮮へ旅立つ日、その学校で壮行会が開かれる。元の学校の級友たちもやって来て参加する。列車に乗ってみんなに別れを告げる。みんなは自分たちのことを忘れないでくれ、向うへ着いたら手紙をくれと頼む。

帰郷先は北朝鮮である。途中で北朝鮮のニュース映画が出る。日本人も差別しないと当初反対していた母親への説得に、父親は言う。

この当時は新生の北朝鮮に希望を持ち、帰った在日朝鮮人が多い。その後を知っている現在の我々と、当時映画を作った、あるいは鑑賞した人々の意識の差を色々考えさせる。

1 件のコメント:

  1. 稀少な映画のご紹介、ありがとうございます。
    前から是非鑑賞してみたいと思っている作品ですが、まだ機会に恵まれません。
    ただ、この映画のように「北朝鮮への帰還事業」を奨励促進する作品は、制作元は異なっても、他にもいくつかあるようで、今日は大阪で開催される『千里馬』の上映会に行く予定です。
    北朝鮮は日本人から見れば、拉致だの核実験だの飢餓だのの異様なキーワードに彩られた社会主義国ですが、少なくとも数年から数十年日本に滞在した在日朝鮮人(日本人妻・日本人夫も)が渡国した国であり、その渡国の原因(日韓併合・朝鮮人差別)を作った日本が忘れ去っていい問題ではないと思います。
    ましてや、今や200名を超える脱北者(当時渡国した人またはその子孫)が政府の援助もなしに日本にひっそりと隠れ住んでいると言われています。
    世界中には数えきれないほどの問題があり、ひとつひとつ全てに目を向けたり対策を講じることは不可能に近いですが、騙されたような状態であの当時北朝鮮へ行ってしまった人々が、少数でも存命であり、その子孫も貧困や飢餓にあえいでいる可能性が高い現在、もう少しスポットライトが当てられて然るべき問題であるように感じます。

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