2020年10月18日日曜日

バルザック『セザール・ビロトー』 César Birotteau 1837

 

セザール・ビロトーは主人公の香水商で、区の助役といった公職にもついている。真面目な商人で自分の発明した香水によって事業は順調であった。妻と娘にも恵まれた。

しかし事業の拡張、不動産取引を計画し、それに伴い舞踏会を開き大勢の者を招く。客観的にこのような手の広げ過ぎが仇になった。また馘にした店員が深くビロトーを恨み、自分で事業を始めた後に、ビロトーが失脚するよう画策する。

ビロトーは借金が嵩み、しかも自分が貸していた公証人が逃げてしまう。破産に向かって事態が悪化し、遂に破産する。

店員のうち真面目な男がいてビロトーの娘と相思の間柄だった。この男は独立し別の場所で店を始めていた。その男とビロトーの義父が破産した香水商を助けるため奔走する。なんとかして借金を返して元通りにしようとする。彼らの努力が実りビロトーは元の地位を取り戻すが、最後の展開になる。

当時の経済取引の実態に基づき、ビロトーの盛衰を描いた小説である。

大矢タカヤス訳、藤原書店、1999

0 件のコメント:

コメントを投稿