2019年8月16日金曜日

告白的女優論 昭和46年

吉田喜重監督、現代映画社、124分。
浅丘ルリ子、岡田茉莉子、有馬稲子の三女優が、映画女優を演じる。三人が同じ映画に出るという設定なのだが、それよりも三人夫々の話が進むといった映画である。しかも『イントレランス』のように話が交互に進む。女優の過去の秘密が順次明かされていくといったミステリー風の映画でもある。映画というより全体に舞台を観ているような感じである。

夫々の女優には友人や付き人といったもう一人の女が出てくる。例えば浅丘の友人がいて、彼女の高校生時代の醜聞の実情が次第に明らかになっていく。
岡田には三國連太郎がマネージャーとして出ている。夢の分析によって岡田と夫、更に愛人と思われる者の関係を明らかにしようというフロイト風の治療が出てくる。三國は最後に悲劇的な結末を迎える。
有馬は以前から自殺を何度も試みる女であって、相手は死ぬが自分は生き延びてきた。若い時の相手が実は義理の父親だったということで、母親との関係が緊張を持つ。

三人の女優は最後にインタビューを受ける、女優とはどんなものか、等々。これは台本でなく自分の言葉であろうか。
映画製作時の年齢は、浅丘が31歳、岡田が38歳、有馬が39歳である。
浅丘が映画の初めの方で、年齢は20数歳と言われる。観ている時は随分若い歳を言ったものだと思ったが、実年齢に近かったのである。そのためか唯一、後ろ姿だがヌードをさらしている。
有馬は一番老けた感じで、そのせいか演技も十分に見えなかった。浅丘、岡田は戦後を代表する女優と言えるだろうが、有馬は自分でも代表作がないと言っているし、昭和30年代に人気のあった美人女優というのが映画史的評価だろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿