2019年8月10日土曜日

どろ犬 昭和39年

佐伯孚治監督、東映東京、92分、白黒映画。破滅していく刑事の物語。
大木実演じる、主人公の刑事は生温い捜査方法に飽き足らない。映画冒頭、若い女を雨の中、車に乗せてやり暴行を働いた男がいた。その取り調べで大木の脅迫的な態度は警察の上司からたしなめられる。更に被害者の親が示談金を受取り、訴追を取り下げたので怒る。

このような捜査事情に憤懣やるかたない大木はやくざの西村晃を使い、警察の手を逃れた悪党どもを懲らしめる。西村もカネが手に入るので得になる。悪党をゆすって手に入れたカネの分け前を、大木に渡そうとすると大木は怒って西村を殴る。カネのためにやっているわけではないからだ。
大木は自分が刑務所に入れたやくざの妻と今は関係を持っている。以前の妻には逃げられ独身である。

警察署では悪党どもがゆすられていると知る。司法の手を逃れた事情は外部には分からないはずである。署から秘密が流出したのではないか、調べ始める。まさか署の誰も仕事一途で正義感の強い大木だと思わない。大木は自分の罪を隠すため、殺人という大きな罪に犯していく。同僚や西村、その仲間と次々と手にかける。さすがに気づく刑事がいた。何とか逃げ、女と一緒に九州への旅に出る。しかしその列車には同じ署の刑事たちが乗り込んでいた。手錠をかけられもはやこれまでと悟った大木は列車から飛び下りた。

観ていて特に二点ほど気になった。若い刑事が大木を犯人と確信し、捕まえるため夜、跨線橋へ呼び出す。大木は刑事を殺しかけて逃げる。今まで何人も殺している男を夜誰もいない所へなぜ呼び出すのか。大木に殺されるのではないか、観客はみなそう思う。この刑事馬鹿か。
最後に刑事たちが総出で列車内の大木を捕まえる。隙を見て逃げ出し自殺されてしまう。この署の刑事どもは無能の集まりかと思った。

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