2019年8月14日水曜日

伝説の舞姫 崔承喜 金梅子が追う民族の心 平成12年

藤原智子監督、崔承喜の映画をつくる会=日本映画新社、96分。
戦前人気のあった朝鮮生まれの踊り手、崔承喜の生涯の跡を、現代韓国の舞踏家金梅子がたずねていくという映画である。現在のほか、過去の写真や映像で構成される。

崔は日韓併合当時、ソウルで生まれた。大正の終わり、日本の舞踏家、石井漠の弟子になるため東京に向かう。石井が朝鮮に来た際の踊りに感銘を受け、自らも踊り手となるためであった。朝鮮政治活動家と結婚し、子供も生まれた。その後朝鮮に戻ったこともあったが、崔は有名な舞踏家になる。日本だけでなく、世界公演旅行をするまでになる。世界中で評判を取り、真珠湾攻撃直前に日本へ戻ってくる。終戦前年には20日間に渡る崔の公演が東京で開催された。

日本の降伏時には中国で公演中だった。ソウルに戻っても日本で育った崔は受け居られず、北朝鮮に家族共々住む。朝鮮動乱の際には、慰問団として北朝鮮軍と共にする。
後に中国に行き、朝鮮舞踏を初め、踊りの権威となる。しかし夫が政治で失脚し、崔は家族共々捕えられた、という情報が最後となった。その後の消息は不明である。

映画は金梅子が崔の芸術を受け継ぎ、韓国で舞踏を指導発展させようとする様もある。
ともかく戦中まで非常に高名であった崔、今では一部の者を除いて忘れられているというしかない舞踏家であろう。日本支配下、日本で育ち、有名になったなども戦後の評価に影響しているのであろう。

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