2018年8月24日金曜日

上方苦界草紙 平成3年

村野鐵太郎監督、プロダクションゆりーか=鐵プロダクション、102分。
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石の河原で二人の女芸人が三味線演奏をしている場面から始まる。
明治20年代、伊勢神宮へ街道でお杉とお玉という名の複数組、三味線芸人が人気を集めていた。主人公の姉妹二人は、本家のお杉お玉を目指す大道芸人である。二人を使っているのは義理の父である。

かつて母親と再婚した義父は三味線弾き(小川真由美)を家に連れ込み、母は逃げ、姉妹は売られないよう三味線を習う。義父は小川と姉妹を連れて放浪の旅に出る。門付をする。
義父は理屈をつけてお杉を抱く。それを知った小川は激怒するが、義父は殴り返し、瀕死の彼女を置いて、娘二人と旅に立つ。

二人の芸は演奏中、姉のお杉が悶えて裾をまくり、脚を出す。それで観客がやんやと銭を投げるというものである。妹のお玉はより芸の向上を目指し、上級の三味線弾きに習う。
本家のお杉お玉が高齢で引退するというので、高いカネでその権利を買う。しかしその直後、国の取り締まりで、大道芸が禁止される。

姉妹は二人だけで門付しようと逃げだそうとするところを義父に見つかる。妹のみ逃げる。妹は芸人として上達しようとするが、やはり河原の三味線弾きであると悟る。河原で小川の死体を見つけ供養の演奏をする。姉は見世物で身体を売る身になり、義父はその回転舞台の地下で車を回している。

放浪する女芸人の映画では岩下志麻の『はなれ瞽女おりん』があるし、放浪ではないが浅草の姉妹三味線弾きを描いた成瀬巳喜男の『乙女ごころ三人姉妹』がある。それらに劣らない傑作である。

なお映画の出演者紹介で、冒頭に小川真由美の名が出て、義父役の井川比佐志が出る。実際の主演である姉妹の葉山レイコと原田和代は次なのである。この二人が主演であることは観れば明らかである。小川は端役なのに役者としての序列によるのだろうか、変な気がした。なお国立FAでの上映は英語字幕がついたが、それでは葉山、原田が最初である。
姉妹二人のうち、妹の原田の生き方は前向きであり、尺も長い。しかし脚を見せストリップまがいをし、最後には身を売るようにおちていく葉山の方に惹かれるのも不思議でなかろう。

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