2018年8月17日金曜日

破戒 昭和23年

木下恵介監督、松竹京都、99分、白黒、池部良主演。
島崎藤村原作。大筋は追っているものの、細部はかなり脚色している。
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まず映画冒頭に字幕で、自由と平等、日本に未だ蔓延る封建意識、偏見の打破などの主張が映し出される。まさに戦争直後の民主化の時代を感じさせる。

長野県飯山、明治期、まだ偏見が強い。瀬川丑松を演じる池部良や、友人の熱血漢宇野重吉は共に教師である。現実に悲憤慷慨する。

池部良は部落民である。それを隠して生きよという亡父の戒めで、これまで公にしてこなかった。部落民出身で、社会の改善運動に挺身している論客に共鳴する。

ところが町の有力者が選挙資金を得るため、池部と同じ部落出身の女を娶る。有力者は妻から池部が部落民と知る。池部に会い、妻の出自を秘密にしてくれるよう、ただし池部の身分も明かさない、という交換条件を出す。池部は怒って有力者を追い出してしまう。

有力者は池部が部落民出身であるとの噂を流す。町中で評判になる。父兄も学校に抗議を申し出る。部落民を教師にしておくなど許されない。学校で真相を明らかにする会議が開かれることになった。しかし池部はなかなか来ない。それはあの社会運動家の論客がこの町で講演会を開こうとしたところ、暴漢たちに襲われ重傷を負っていたからだ。付き添っていた池部は論客の死亡後、学校に向かう。一同の前で自分が部落民であると告白する。続いて児童たちにも謝る。以前、池部の同僚で池部に世話になっていた氏族出身の元教師は、騙されたと池部に襲いかかる。

その士族出身の元教師の娘(桂木洋子)は、池部を慕い、東京に向かう舟に彼と同乗する。

原作の『破戒』で、児童たちに土下座して、涙を流して告白する有名な場面はない。ただ児童たちに謝る場面はあるし、終わりで池部らの舟を多くの児童が見送るなど、より積極的に作ってある。初めに書いたように戦後ならではの、自由平等民主主義の理想に燃えていた時期の映画だと思わせる。

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