2022年6月18日土曜日

與田準一『五十一番めのザボン』 昭和26年

與田による児童文学。南国のある小学校で新校舎建設のため、庭にあるザボンの木が切られそうになった。議論が起こった。結局、校舎の向きを変え、ザボンの木は半分だけ残して、北側の枝は取りはらわれた。この木になるザボンの実を売ることになった。夫々に番号をつけて、51番までになった。買った者たちから手紙が来た。それがこの小説の中心部分である。そこに書いてある買い手の物語はまさに戦後を感じさせる。例えば外地から戻って来て上の子は外地で亡くした、とか。靴磨きの少年が出てくるが、いつ頃まで日本の都会に普通に見られたのだろうか。昭和30年代半ばくらいまで?題名は51番目のザボンだが、もちろんみんな返事があったわけでなく、一部のみであり、51個のザボンという意味である。

講談社の少年少女日本文学全集第12巻に所収。この本は昭和52年の再刊だが、元は昭和30年代後半に出ており、それが学校の図書室にあったので懐かしく読んだ。装丁は昔の方が布の表紙に真ん中に絵が載っていて(同社の少年少女世界文学全集と似ている)、豪華な感じだった。

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