2021年4月12日月曜日

吉田秀和『音楽のよろこび』河出書房 2020

 

音楽評論家吉田秀和の対談集である。以下の内容である。題の後は対談者。

来日演奏家から学んだものと学ぶもの、中島健蔵/欧米のオーケストラと音楽生活、平島正郎/最高の演奏家、遠山一行/ヨーロッパでピアノを弾くということ、園田高弘/録音と再生で広がる音楽の世界、高城重躬/調律とピアノとピアニスト、斎藤義孝/われらのテナー、歌とオペラ、藤原義江/日本のオーケストラの可能性、若杉弘/演奏と作曲と教育の場をめぐって、柴田南雄/ベートーヴェンそして現在―日本の音・西洋の音、武満徹/音楽の恵みと宿命、堀江敏幸/生と死が一つになる芸術の根源、堀江敏幸

初出時期は中島との対談は、昭和28年で最も古い。最後の堀江との対談は平成23年とほぼ60年間に渡っている。初期の頃は吉田もひどく丁寧な言い方を年長者にしている。遠山との対談「最高の演奏家」(昭和33年)はいわゆる普通の音楽評論家みたいにこの演奏家、指揮者、独奏者はいいとか悪いとか演じている。指揮者では総じてアメリカ在の評価は低く、例えばセルに関して吉田は、

「ジョルジュ・セルが女性的だ、男性的だといっても、彼自身は大したことないね。だからアメリカではあの人は通用しているけど、大指揮者ということにはなっていないですね。」と言い、評価するのはトスカニーニ、ワルター、それとミュンシュかなと言っている。更に「よその国じゃあんまり通用しないけど、アメリカじゃ格を持っているようなオルマンディ、フリッツ・ライナーがいる。」といった評価である。

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