2021年4月12日月曜日

真田信治『方言の日本地図』講談社+α新書 2002

 

日本方言のパターン、各地方の方言、年齢別の言葉の違いなど方言にまつわる話題を集めている。冒頭にある表1では、方言が強く残る県別順位が載っている。これを見ると沖縄、九州、東北と東京から離れた地方で残っている様子である。虚心に見ても東北地方にそんな方言が残っているかと思わないか。それでこの表の元になった調査がそこに書いてある。『日本言語地図』といい、昭和32年から40年までの調査で明治36年以前の生まれの男を対象とした調査だという。明治36年以前の生まれ、といったらこの調査の対象者は今はほとんど生存していないだろう。50~60年以上昔の調査なのである。今調査したら激変しているだろう。この表に意味がないと言っているわけでない。この頃はこうだったという情報になる。正直現在同様の調査を行ない、どの程度変化しているか見たい。

本書の他の記述は別の調査によっているものが多く、この古い調査にばかり依存しているのではない。それぞれ出典は明記してあるものの、その調査がいつかは書いていない。本書の価値を損なっている。調査がどういつ行なわれたか不明では何も言えないのである。

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