2021年4月21日水曜日

ヒューム『二輪馬車の秘密』横溝正史訳 扶桑社文庫 2006

ファーガス・ヒューム(1859~1931)は英国生まれで豪州に一時滞在していた。その『二輪馬車の秘密』は1886年に豪州で発表された。イギリスで翌年刊行されると爆発的な人気となったそうだ。更に明くる1888年にドイルの『緋色の研究』が発表されたが、全く話題にならなかったとか。

内容は全く19世紀の長篇推理小説そのものである。メルボルンである夜、二輪馬車に乗せられた紳士が、後に殺されていたと分かる。犯人は誰か。容疑者はすぐに出てくる。ある令嬢を争っていた恋敵の男である。逮捕されるが何も話さない。黙秘を続けているのはある秘密を守るためである。逮捕された男を愛している令嬢は心を痛める。真理を求める弁護士などの努力が続く。裁判では無罪で釈放された。これで終わりではない。背後に潜んでいた秘密は何か。最後までその秘密が読者をひきつける。なお本書は抄訳だそうで完訳版もある。

解説によると有名な推理小説研究家ヘイクラフトはヒュームの小説を散々けなし、本書は読むに耐えないと言っているそうだ。どういうところがひどいと言っているのか書いて欲しい。

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