2021年2月7日日曜日

バルザック『あら皮』 La Peau de chagrin 1831

 青年ラファエルは望みが叶うあら皮を手に入れる。ただし自分の寿命と引き換えに、という小説。

ラファエルは賭博場にやってくる。金を使い果たす。もう自殺するしかない。自殺の前に骨董店を見つけ中に入る。そこであら皮を見つける。主人が言うにはこの皮によって何でも望めば叶うが、その度にあら皮は縮み、全くなくなればその時は死ぬ。

もらって外に出ると友人に出会う。その友人と酒場に行き、友人や女たちに自分がなぜ自殺する気までなったかの経過を語る。この語りが非常に長く、尺で言えば小説の大部分、と言ったら言い過ぎだが長い。ラファエルが社交界で美人のフェドーラという伯爵夫人に現を抜かす部分が大半である。バルザックならではの微に入り細を穿つ書き方で、感心するほど長い描写が続く。ラファエルを慕う娘ポーリーヌも出てくる。

あら皮を使い、ラファエルは大富豪になる。その後、やはり金持ちになったポーリーヌと再会し、二人で愛の喜びにふける。あら皮は小さくなるばかりである。つまらない決闘で相手を斃すにも使う。最後にはラファエルは死ぬ。

中山真彦訳、筑摩版世界文学全集第17巻、昭和42

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