2019年3月6日水曜日

大竹文雄『競争と公平感』 中公新書、2010

経済学者の大竹文雄が、社会で見られる競争と公平の関係について様々な素材を基に論じている。副題に「市場経済の本当のメリット」とあるように、我々は資本主義体制下の市場経済に住む、その市場経済の利点は何かを論じたいようである。市場経済と言えば、弱肉強食の望ましくない体制との印象を持っている人は多い。
競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)
内容(目次)は「競争嫌いの日本人」「公平だと感じるのはどんな時ですか?」「働きやすさを考える」と分かれている。
抽象的一般的に論じるのではなく、具体例を取り上げその問題点や理解の仕方を説明しているので分かりやすく参考になる。

かつては資本主義経済には色々問題があり、社会主義体制が望ましいと考えられた。しかし現在の我々は社会主義の現実を知っている。北朝鮮のような体制がいいとは誰も思わないだろう。これまで存在した凡ての社会主義体制は、政治を別にしても経済も全く機能しなかった。共産党独裁の中国が発展してこられたのは、経済は市場体制としたからである。

ここで著者が言っているように一般論としては市場経済を基本とし、必要に応じて政府が介入して是正していく、これだけの選択しかないのだろう。どれだけ介入し、その方法はどうするのかは意見が分かれる。
チャーチルが民主主義について言ったように資本主義は最悪の体制である、ただしこの他の体制を別にすれば、ということになろうか。

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