2018年3月4日日曜日

小羊 大正12年



フィルムセンターの「発掘された映画たち2018」シリーズの一として、「復元された弁士説明版」と称する上映があった。
次の4作品を上映。「日露戦争記録」(16分、明治37年)、「旧劇 太功記十段目 尼ヶ崎の段」(17分、明治41年)、「ジゴマ」(8分、1911)、「小羊」(53分、大正12年)。

文部省芸術祭で昭和29年から47年まで「映画の歴史を見る会」という企画があった。その際の、弁士説明付上映の録音がある。それとフィルムセンター所蔵の無声フィルムを合わせてデジタル復元した映画の上映である。弁士説明の音声と映像が合わない、どちらかが欠損している場合もあった。

最初の「日露戦争記録」では映像の前に延々と弁士の前口上が続いた。その間のスクリーンは黒幕に弁士の名が出ているだけである。
「旧劇 太功記・・・」は明智光秀の三日天下の悲劇をもとにした歌舞伎の映画である。歌舞伎なので台詞も聞き取りにくい。この映画のみ白黒、他の3作品は染色版。
「ジゴマ」は断片。探偵と女が囚われから逃げ出す、女が溺れる、探偵が変装してジゴマを捕える、など。

今回のうち「小羊」が最も長尺。劇映画である。賀古残夢監督、松竹キネマ製作。
主人公の男は知らなかったが、無声時代のスター川田芳子と、後々まで老け役で活躍した英百合子が若い姿で出ている。

主人公の男は学生で、人気女優(英)に恋している。直接、英に会って告白する。彼女は男の手紙を突き返し、恋人と去る。
絶望した男は学業を捨て、北海道に行く。羊飼いになる。ある日怪我をした男は川田に助けられる。相思の仲になる。牧場で働く悪漢は、川田を恋している。邪魔になると思われる男を縛って、断崖絶壁から落とす。なぜか男は大してけがをせず、谷底で金を発見する。帰京し事業家として成功する。

その後北海道に戻る。知っていた者から牧場の事情を聞く。牧場は火事で焼け、川田は悪漢に攫われたという。
東京に舞台は戻る。かつて男を振った女優の英は、今では成功した彼を自分のものにしようとする。男は英の家に行く。もう愛していない英を振り切り帰ろうとすると、あの川田に出くわす。彼女は英の家で、女中をしていたのである。男と川田は手に手を取って、女優の元を去る。

話の運びにかなり無理があり、映画史上有名でないのもしかたない。ただ名高い川田芳子を見られるのが売りの映画であろう。

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