2017年5月13日土曜日

坂井豊貴『決め方の経済学』ダイヤモンド社 2016


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みんなの意見のまとめ方を科学する、という副題があるように、まとめ方という方法について著者の専門である社会選択論を基に論ずる。
民主主義の正当性については疑問の余地がないとされる。民主主義を実現する方法としての多数決原理も、深く検討の対象とされてこなかった。
ここでは民意を決定する方法としての多数決について再考し、それに代わる諸方法を検討しており有意義な著作と言える。

この本では多数決による決め方は実は多くの点で不都合であり、民意の反映と言えるか、と問い、単純な多数決自明主義に疑問を投げかける。
結局、多数決主義は二位以下の意見を無視してしまう、結果に反映させない方法であると示す。
代替案として、ボルダルール(複数の選択肢にウェイトをつける)、決戦投票付多数決、総当たり法などを説明し、その方法によって結果が変わってしまう例を挙げる。

更に選択肢が三つ以上についても、ペア勝者とペア敗者、認める、認めないの是認投票などによって議論を広げる。
本書を極めて身近な話題を例にして、話を進めており読みやすく、わかりやすい読み物となっている。

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