2017年1月13日金曜日

にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活 昭和45年



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今村昌平監督によるテレビ向けの記録映画。白黒。配給は東宝だが日本映画新社制作。
昭和一桁生まれの女性の語りで綴る戦後史。彼女の母や娘も登場する。
戦後のニュース映画を挟みながら(観ながら)、質問に答え雄弁にこれまでの人生を語る。
田舎の実家は屠殺業をしていて現在の感覚から言えば刺激的な映像も出てくる。戦後取締りの対象から抜けるため、警官と結婚する。その男もカネをせびる、浮気するなど性悪である。その後付き合った男たちも碌な者はいなかった。

横須賀に出てきてバーを開く。そのバーの名がおんぼろである。米兵相手のバーである。ヴェトナム戦争が始まる。すっかり日本の男に愛想をつかした彼女は、米兵とも何人とも関係を持つ。アメリカへ行けば展望が開けると期待し渡米する。

過去の出来事へのコメントも率直に自分の意見を言う。例えば皇太子成婚に批判的である。豪華すぎるということから。またヴェトナム戦争のソンミの虐殺写真を見せられても作り物だろうと言う。
 
逞しく生きていく女を描いている。あまり庶民を代表するとは思われないが、多数派は何かと言われてもわからない。夫々の人生を生きた。その一つの例である。

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