2017年1月5日木曜日

松井孝典『生命はどこから来たのか? アストロバイオロジー入門』文春新書 2013



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本書は題名のとおり生命起源論である。このような分野は昔なら生物学の守備範囲であったろうが、現在は自然科学全体の知見を基にして研究が進められている。
著者は地球物理の専門家。アストロバイオロジーを宇宙生物学と訳すと宇宙の生物の研究みたいに聞こえるかもしれないが、生物の起源を地球に留まらず宇宙まで広げて研究していこうとする。
普通生物というといわゆる単細胞生物から始まって人間等に至る、地表で生息している動植物を対象にしている印象があった。しかし太陽エネルギーを使わず、深海の熱水が噴射しているような所で生息している極限環境の生物などがいることがわかった。

非常に広い分野の知識が必要であるため、それらについても解説している。例えば生物とは何かという基本的(基礎的という意味でなく)事項まで簡潔に説明してある。以前生物学の概説書を読んだ時も十分説明がなく、本書の説明はありがたかった。
しかしながら先に述べたように自然科学の広範囲の事柄について記述してあるため、細かいところまで理解できたとは思えない。
 
またアストロバイオテクノロジーが現在研究途上の分野であるため、暫定的な記述が多くここでの説明も近いうちに書き換えられるであろうと思われる。

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