2023年6月14日水曜日

ツルゲーネフ『猟人日記』新潮文庫 昭和47年

ツルゲーネフの初期、1840年代後半に書かれた25編から成る短篇集。雑誌に掲載された諸編を後にまとめた。

語り手の猟人がロシヤの田舎、大地を猟をして回る中で知り合った農民(農奴)や地主(貴族)の生き様を描く。よくロシヤの自然を描いたと紹介されるが、自然もさることながら、何より登場する人々が関心の的である。自分の運命を受け入れている、従順そのもののような農奴たち、恐ろしく個性的な地主たちなど読んだら忘れがたい。

ツルゲーネフの作品はこの他『ルージン』以下『処女地』までの長篇、あるいは『初恋』などが有名だが、『猟人日記』はまた別の優れた味わいを持つ。作為を感じさせない、当時のロシヤの自然で生きる人々を情感豊かに描きだしている。ロシヤ文学の中でも特に傑作に数えてもいいのではないか。

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