2021年11月26日金曜日

ホレス・ウォルポール『オトラント城』 The Castle of Otranto 1764

ゴシック小説の鼻祖と言われる小説。オトラント城の城主マンフレッドには息子と娘が一人ずついた。息子コンラッドは世継ぎであるのに病弱な男だった。コンラッドと、城で世話しているイザベラ姫との結婚の日、魔訶不可思議な出来事が起こる。城の中庭に巨大な兜が出現した。その兜によってコンラッドは押し潰されてしまった。嘆く母親や姉マチルダ。この不可思議な出来事の理由は分からない。

しかし城主マンフレッドは次の様な、良からぬ企みを持った。息子がなくなった上は、自分の家の世継ぎが何としても必要である。それでマンフレッドはイザベラ姫に求婚するのである。マンフレッドは傲岸不遜で自分の意志をあくまで貫こうとする。驚いたイザベラ姫は逃げ去る。一方、地下室で見知らぬ若い男を発見する。後にセオドアと名乗るこの青年は田舎者だと言いつつ気品があり男らしい。マンフレッドはこの男を疑い、けしからぬ者であろうと捕まえる。マチルダもイザベラ姫も共にこの青年に好意を抱く。特にマチルダを青年の方も好きになる。そうこうするうちに、外部から騎士の一団がマンフレッドの城にと着する。この騎士たちはマンフレッドに正当な城の持ち主でないと宣言し、城の明け渡しを要求する。もちろんマンフレッドが応ずるわけもない。

等々、の物語が続き、最後には正当な城主がセオドアであると分かる。相思のマチルダと一緒にいる時、マンフレッドは誤って我が娘を殺してしまう。セオドアは絶望する。後にマチルダの思い出を共にするべく、イザベラ姫と結婚する。

千葉泰樹訳、研究社、2012

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