2021年10月21日木曜日

ミシェル・マクナマラ『黄金州の殺人鬼』 I’ll be gone in the dark 2018

1970年代から80年代にかけてアメリカ、カリフォルニア州(黄金州)で起きた十件以上の殺人、五十件以上の強姦、強盗の真相究明を追った記録である。本書の特徴は犯罪に関心をもって、それまでの事件を調べていた執筆者が、解決前に亡くなってしまった点であろう。だから本書には真犯人の確定、逮捕、犯罪の原因の究明などは書かれていない。

本書は後に分かった事実から、犯罪を説明していくといった本ではない。主婦であった著者がどう調べていったか、の記録でもある。著者は2016年に病死した。犯人逮捕は2018年だから真犯人を知らぬまま著者は死んでいる。夫などが補足しているが、あくまで本書は著者の記録である。だから連続殺人事件の描写だけでなく、著者の苦労の跡が書かれ、そのため少し読みにくい気がする。
村井理子訳、亜紀書房、462ページ、2019年。

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