2021年1月18日月曜日

バルザック『名うてのゴディザール』 L’Illustre Gaudissart 1833

 

ゴディザールとはパリのセールスマンで評判がいい。パリ小物の地方販売で高い売り上げを誇っていた。ゴディザールの腕を見込んで、新聞や生命保険の売り込みを頼む。ゴディザールはトゥーレーヌ地方に向かう。ある男を紹介される。実はその男は少し頭の調子がずれており、それを承知でずるい現地の者はゴディザールに引き合わせたのである。話がかみ合わず、ゴディザールのしゃれを男は文字通り解釈するので、ギクシャクした会話が続き、原語を知っていれば面白いのだろう。最終的にゴディザールは自分が騙されたと分かり、怒る。すると現地人は、そちらこそ生命保険や新聞を売ろうとしていたのではないかと反論する。結局ゴディザールは子供用の新聞を契約させ、損はしなかった。パリの名うてのゴディザールが田舎者に翻弄される様が面白い。

吉田典子訳、藤原書店、1999

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