2021年1月7日木曜日

女の座 昭和37年

 成瀬巳喜男監督、東宝、111分、白黒映画。

雑貨屋を営む実家の老父が危篤となった。その知らせで子供たちが集まる。大したことなかったと分かる。登場人物たちが一堂に会する。老父は笠智衆、その後妻が杉村春子、長男の未亡人が高峰秀子で店を切り盛りしている。長女の三益愛子は下宿屋をしている。夫の加東大介が女と逃げた。捨てられ戻ってくる。次女の草笛光子は華道の先生でまだ独身。次男が小林桂樹でラーメン屋をしている。三女の司葉子は勤め先が倒産し、小林のラーメン屋に手伝いに行く。そこに来た客の夏木陽介は四女の星由里子の友人で、司と知り合い、共に満更でない気になる。

次女淡路恵子は九州に嫁に行ったが、夫の三橋達也と一緒に上京する。いつのまにか腰を落ち着ける。聞いてみると三橋は九州で失業し、東京で職を見つけるつもりだった。夫婦は店を担当するようになる。ある日、宝田明がやって来た。誰かと思いきや杉村春子が捨てて出た元の家の子供が成長していたのである。容姿が優れている宝田に独身を続けてきた草笛が惚れる。実は宝田はこれまで詐欺師まがいの人生を送ってきた。それが分かった高峰は結婚を決意した草笛に慎重を求めるが、嫉妬と思った草笛は平手打ちを高峰にくわせる。高峰は宝田に出入りを遠慮してくれと頼む。高峰に好意を持っていた宝田は心外だった。

高峰の長男は高校受験を控えて勉強を高峰がせかすが、やる気がない。伯父さんの小林がやっているようなラーメン屋がいいと言い出す始末である。テストの成績が悪くしょげて帰る息子。自宅に連絡が入る。電車に息子がはねられたと。気を失う高峰。葬式、高峰は自分が悪かったのではと悔やむ。夏木といい仲になっていたはずの司に見合いの話が持ち上がる。星が夏木にそれを言っても夏木は自分の給料では養えないから無理だと答える。司は見合いの相手と結婚しブラジルに行く予定になった。星が夏木を好きなので、自分に夏木との結婚話を持ち掛けたのだと司は言う。雑貨屋の場所に高速道路が通るので立ち退きになり補償金が出ると皮算用をしていたが、道路は外れると分かる。子供たちは雑貨屋の場所を自分の都合のよいように取ろうと画策していた。

笠と杉村の夫婦は高峰と墓参りに行き、帰りに適当な家を見つけ三人で住もうと提案する。高峰が結婚するなら自分の娘として送り出すと言う。杉村は高峰に好意を持ち、子供らより頼りにしていた。

全体の構図は『東京物語』に似ている。ぱっとしない登場人物たちの生活の様を描く成瀬調の作品である。当時の風俗が良く分かる。

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