2018年4月7日土曜日

マルクス『賃労働と資本』村田陽一訳、国民文庫 1956年


マルクスの原著は1849年、エンゲルスによる修正版は1891年の発行である。
マルクス経済学の入門的文献として夙に名高い。

経済学はそれなりに勉強してきたが、マルクス経済学はほとんど知らない。昔、解説書や入門書を読んだが意味が不明であった。ようやくマルクス自身による入門的解説書を読んだ。
マルクス経済学では古典派経済学を受けて労働価値説に立っている。そこから生み出した価値は労働者に凡て帰属する。だから資本家の取り分とは労働者から掠め取っている、搾取に過ぎない、これが言わんとするところらしい。

しかし現代ではあまりに非現実的な言にしか聞こえない。19世紀のマルクスの時代にはある程度のもっともらしさがあったかもしれない。社会主義革命が起きたのは後進国に過ぎない。これはマルクスの理論が当てはまるのはせいぜい後進国だからだ。
我が国はでは長い間、マルクス経済学が大学で教えられてきた。時代遅れで非現実的な学を教えられた学生は、教授たちに搾取されていたとしか言いようがない。
社会主義国家は実際に誕生したものの、そこは一握りの国家の指導者たちが国民全体を搾取するこの上ない非人間的な体制であった。
正直マルクスの考えがあれほど人間を動かした、革命を起こしてまで、社会主義国家をつくったとは今となっては不思議である。

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