フォーサイス『悪魔の選択』角川文庫 昭和57年

 

原作The Devil's Alternativeは1979年に出版。日本でも同年翻訳が出版されたくらいフォーサイスは当時の流行作家であった。

ソ連がアメリカと対立する軍事大国であった当時が舞台。ソ連の食糧危機と米との平和条約を巡る駆け引きが大きな背景。反ソのウクライナ人たちのソ連への復習、ソ連大使館へ派遣された英国のスパイ、彼と情報入手先であるロシヤ女性との関係、後半では巨大タンカーがシージャックされ、ソ連と西側諸国との息詰まる交渉など、最後の背負い投げまで読ませる話。

 
これは出版されてまもない当時に読んだ。数十年ぶりの再読。当時と比べて今では世界が変わり米ソ対立は過去のものになった。また自分もかつてほどこういった小説を楽しんでいるわけでない。どちらの変化が感想の変化に大きく影響したのかと思った。