2014年8月7日木曜日

クウレ・ワムペ(Kuhle Wampe)


ドイツの戦前の映画である。1932年の作品。『三文オペラ』のブレヒトも制作に関わったそうである。発声映画(トーキー)である。


女主人公アニーを演じたヘルタ・ティーレは『制服の処女』の主役も務めた。

作成年代からわかるように世界恐慌の只中の作品である。当時のドイツの苦境に対する主張を織り込んだ左翼映画とされている。

全体のあらすじは次の通り。
若い男たちが職を求めてベルリンの街中を自転車に乗って駆け巡る。その中の一人、アニーの兄弟は絶望し窓から身投げする。家賃も払えず追い出された一家が着いたのは共同居住地のKuhle Wampe(クーレ・ヴァンペ?)である。ここへはアニーの恋人フリッツの助力があった。アニーが妊娠するとフリッツは結婚したくないと言い出す。アニーは女友達の申し出で運動会に参加することにする。それがニュース映画的に俯瞰的にさまざまに撮られている。最後は通勤電車の中で乗客同士の議論の場面。ブラジルのコーヒー廃棄から始まって討論になる。その部分が結構ある。西洋人の議論好きは承知だが見知らぬ乗客同士でこんなに実際に議論するものなのだろうか。客の一人が「誰がこの世界を変えられるのか」と言う。答える「不満のある者だ」
少し驚いたのは電車が満員なのである。日本以外でも満員通勤電車があるのだ。今のドイツはどうだろう。席は伝統的に4人の向かい合わせで、立っている人が詰めている。

制作年の明くる年がナチスの政権獲得時であり、長い間お蔵入りになっていた。比較的最近になって見られるようになった。
ナチス直前のドイツでこういう映画が作られていたのだ。ともかく歴史的価値はある。

 

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