2014年8月27日水曜日

新しき土

日独共同制作で名高い昭和12年の映画。ドイツの監督がアーノルド・ファンク、日本側が伊丹万作で共同制作と普通言われるが、意見が合わず別々に監督して2つ制作したのだとか。出来栄えはファンクが圧倒的に評判がよかったそうだ。今回見直したのは日独語併用版でファンク監督のもののようだ。


今日この映画の価値は原節子、デビュー間もない1617歳ごろの姿を見られることか。
ドイツがこの映画を作ろうとしたのは同盟国の日本の紹介という意図があった。そのため外国人の目からみたエキゾチックジャパンの映画となっており日本人が見ていると呆れる設定、場面が次から次へと出てくる。批判するより面白いと思ってしまう。主人公原節子の家の裏が安芸の宮島であり鹿がいて、また富士山も近くにある。その他日本の名所を映すのだが、もうばらばらの寄せ集めである。紡績工場の場面ではむやみにMADE IN JAPANという文字が繰り返し出る。同盟国は産業も発達しており、珍奇なだけでないとドイツ国民に知らせるためか。

全体のあらすじは次の通り。
欧州に留学していた小杉勇が帰国する。知り合いになったドイツ人の女性ジャーナリストも同行している。小杉は洋行の費用を出してもらった養父の早川雪舟に義妹の原節子との婚約を解消したいと言い出す。洋行してすっかり西洋かぶれになった小杉は自由を論じ、ドイツ人の女性に惹かれているのである。この女性は金髪の典型的な西洋美人で小杉より背が高い。小杉勇は頑丈な感じだが田夫野人にしか見えず、当時の日本にはもう少しましな俳優はいなかったのか。父親役の早川はさすがに堂々としており見栄えがする。最後では火山に婚約解消で絶望した原が身投げをしようと登るが小杉に救助される。二人は新しい土である満州の開拓に励んでいるところで終わり。

映画そのものとしては傑作と言い難いが今日の目でみると面白いと言ってよい。


0 件のコメント:

コメントを投稿