2022年2月22日火曜日

夏目漱石『こころ』 大正3年

漱石の小説のうちでも良く読まれ、有名な作品である。

小説は3部に分かれ、最初は語り手の青年が先生と呼ぶ年長者に会って付き合うまで。次は帰郷し、病気の父親を見舞う語り手に先生から分厚い書簡が届く。最後はその書簡の中身、先生が告白した過去の出来事である。この最後の第3部が普通、『こころ』の中心部分と見なされている。そこには、親友を騙して自殺に追い込んだ先生の過去が述べられていた。

初めて読んだのは中学生くらいだろう。大人になって漱石の創作を読み返したら、唯一感心しない作品があってそれが『こころ』だった。なぜか。それは自殺によって話を終わらせているから。作者として「逃げている」と言ったら言い過ぎかもしれないが、自殺によって強制終了させているように見えるからである。

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