2017年10月19日木曜日

栄冠涙あり 昭和6年



鈴木重吉監督の無声映画。昭和初期のスターだった鈴木伝明主演で、彼らが松竹を出て起こした不二映画の第一作。英語でFuji Filmと出る。
 
鈴木は大学ボート部(漕艇部)の一員で青春をかけている。その彼を学校へ行かせているのは、若き日の英百合子が演じる姉である。彼の友人はブルジョワの息子である。
彼ら漕艇部が遠征合宿に出かける宿の娘が東京にやって来る。二人は出迎える。東京案内で友人がダンスホールへ行こうと言う。鈴木は不機嫌になり、一人帰ってしまう。女はその夜ブルジョワの家に泊まる。寝台が慣れなくて寝られない。明くる朝、鈴木の家を訪ねる。彼女をもてなす鈴木と姉。鈴木が帰ってしまった訳は姉がダンスホールで働いているからである。そんな所で働かすより、自分は学校を辞めようとかねがね思っていた。
姉は結婚を約束した男がいた。ダンスホールへ来ている男で、それは鈴木の友人の兄であった。鈴木はたまたま姉が男から貰った手紙を読んで、二人の仲を知る。

ところがある日新聞にその男と華族令嬢との婚約報道が出る。姉は驚き男に連絡するが、彼の態度に絶望し、家を出る。鈴木もそれを知り、友人だった弟と絶交する。鈴木は田舎に行っている姉を連れ戻しに行く。
ボートの試合日が近づいているが、二人の不仲は治らず、周囲は心配になる。試合前夜、姉の所へ男がやってきて謝り、仲は戻る。弟たちに告げようとするが、宿舎は閉まっていてできない。明くる日、鈴木と友人は対立状態のまま試合に臨む。しかし試合が進むにつれ、個人間の問題でなく、学校のためにもがんばると言う気になり優勝する。試合後二人は友情を取り戻す。

題名の栄冠涙ありは漕艇部の応援歌で劇中何回か、字幕として出る歌詞の最後の部分である。劇終わりにも出る。

ダンスホールの内部や、寝台に寝られないとか、二人の女の対面で畳に三つ指ついて挨拶するとか、現代観ていると昔と思わせる場面である。

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