2023年12月16日土曜日

筒井康隆『大いなる助走』 昭和52年~53年

文学賞や同人雑誌を徹底的に戯画化した小説。地方に住む主人公は大企業勤めであるが、小説家志望で地元の同人雑誌に作品を載せる。先輩からの示唆で自分の企業の実態を暴く小説を書く。同人で他の小説を貶すばかリの連中からは良く言われない。

それが中央の文芸雑誌に目が留まり、その雑誌に転載される。同人らは嫉妬、ひがみで怒り狂う。直木賞をもじった賞の候補となる。どうしたら受賞できるか。事情通から選考委員の好みを聞き、どう対応すれば良いか伝授される。金が困っている者には金を、女好きには女を世話し、男色家の委員には自分の身体を差し出す。

ところが選考の場は委員たちの醜行で、最終的には別の作家が受賞する。これを聞いた主人公は怒り狂い、委員たちの殺害を決意する。順番に殺していく。数人殺した後、自分も事故で死ぬ。故郷の同人の一人は未成年の女子の同人を妊娠させており、女子が自殺する。その遺書から同人の犯罪が分かり警察が来て逮捕される。

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