2023年8月29日火曜日

バルザック『呪われた子』 L’Enfant Maudit 1831-1837

表題の巻には『サラジーヌ』『エル・ベルドゥゴ』『不老長寿の薬』『フランドルのキリスト』『砂漠の情熱』『神と和解したメルモス』『続女性研究』『呪われた子』が含まれる。

まず表題の『呪われた子』はフランスの宗教戦争の時代、傲岸な老人の貴族と若い妻の間に愛はない。妻の方には好きな若い貴族がいた。女が妊娠する。早すぎる出産では夫は怪しむはずである。それでも生まれた男の子を自分の子とみなす。この男の子は文弱であった。後に生まれた次男は身体が大きく、長じるに及んで剛毅な軍人となる。父親は専らこの次男を愛した。しかしその次男が戦死する。それまで放っておいた長男に嫁をとらせ、跡継ぎを望むようになる。長男には好きな若い娘がいた。相思の仲になる。しかし父親は貴族の娘と結婚させようと決める。連れてくる。愛する二人の男女が共に死ぬ。父親は貴族の娘に自分と結婚しようと言い出す。

『エル・ベルドゥゴ』ではスペインの貴族の娘は延命のため、フランス士官と結婚するくらいなら兄の刃の下、斬首を選ぶ。『不老長寿の薬』は父親の臨終の際、不老長寿の薬を手に入れた男は自分の死に際して使おうとするが、一部のみで後はこぼれてしまった。『フランドルのキリスト』は難破する船でキリストに従い海に上を歩いて助かった人々、その他溺れてしまった人々、もう一つは教会(大聖堂)の中の様子の話。『神と和解したメルモス』は、若い女に入れ揚げた中年の銀行の会計係は、女に捨てられメフィストフェレスのようなイギリス人に翻弄される。『続女研究』はサロンで貴族の男女の会話、女を巡る延々とした議論が続く。(私市保彦他訳、水声社、2007)


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