2022年1月9日日曜日

五味康祐『オーディオ巡礼』 1980年ステレオ・サウンド社

著者はオーディオ好きで知られた剣豪小説家。その五味が雑誌「ステレオ・サウンド」誌に載せた記事が主である。発表は1966年から1979年に及ぶ。五味はオーディオでは英国製タンノイのスピーカーを大いに持ち上げ、自ら所有する大型のオートグラフをクラシック鑑賞用の最上のスピーカーと喧伝した。反面、米国製のオーディオ機器はジャズ用として退けた。

本書はその五味のオーディオ論、クラシック音楽鑑賞論を集めている。本書の文章の幾つかは掲載当時、「ステレオサウンド」誌で読んだ。そのため懐かしい。ただ残念なのは、写真が載せられていない。当時、記事と共に掲載された写真は良く覚えている。オーディオ装置が訪問した先の人物と共に載っていた。「オーディオ巡礼」とは、オーディオ好きの宅に訪問し、その装置について五味があれこれ感想を述べた記事だった。ここには巡礼以外の音楽等論議も収録されている。

当時オーディオ評論家として名高かった山中敬三、瀬川冬樹、菅野沖彦、上杉佳郎への訪問記事は収録されていない。面白くて覚えているのは上杉の記事である。当時、上杉はコンデンサースピーカーKLH9を片側2台ずつ使っていた。そのKLHを五味はインディアンの音と評した。KLH9は実物を見たことが一度もなく、結構聴いてみたいスピーカーだったので余計印象に残っている。

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