2018年9月7日金曜日

マルサス『人口論』斉藤悦則訳、光文社古典新訳文庫 2011

An Essay on the Principle of Population、人口論の古典、1798年の初版。
人口論 (光文社古典新訳文庫)
人口は等比級数的に増えるが、生活物資(食糧)は等差級数的にしか増えないという有名な主張を述べる。論理的な帰結により、人口増は食糧によって規定される。人口が増えても、相対的に少ない食糧の価格の高騰で労働者の実質賃金は下がり、貧しい生活を余儀なくされる。特に貧困層へ厳しくふりかかる。新しい土地を開墾すればこの困難は和らげられる。人口増と食糧生産増、この繰り返しになる。

楽観主義者の説く薔薇色の未来は訪れそうにない。本著でかなり多くのページが割かれているのは当時の進歩主義者、仏のコンドルセ(『人間精神進歩史』)及び英のゴドウィン(『政治的正義』)の主張への反論である。
これらの進歩主義の描く社会はマルサスからすると、どう見ても実現しそうにない。
マルサスは悲観論者であり、現実主義とも言える。当時のフランス革命は、殺戮が跋扈する野蛮極まる状態であり、これを見ては進歩思想にくみせない。

マルサスの政策論は以上から如何にして食糧を増産するかになる。
この主張は現在からすると時代の制約を感じさせるのはしょうがない。実際にはマルサスが危惧した以上に、人類は発展してきた。しかしながら現実の制約を十分踏まえて、政策を提言するという態度は説得的である。

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