2015年10月18日日曜日

総会屋錦城 勝負師とその娘 昭和34年

島耕二監督による城山三郎の小説の映画化。白黒映画。

引退した大物総会屋である内藤錦城が乞われて乗っ取り防止のため株主総会で活躍する。それと並行して嫁にやった娘の離婚話が進む。

総会屋錦城に志村喬、その娘に叶順子、妻に轟夕起子、錦城の弟子役で片山明彦が扮している。

昭和30年代半ばの話で、株主総会の制度も今と全く違って、この映画でかつての総会にどの程度忠実なのか、誇張がどの程度か今ではわからない。また理屈も良く理解できないところがあった。それでも志村喬の総会屋の活躍ぶりは鮮やかに描かれている。
娘の離婚話はいかに総会屋が嫌われていたかを強調するためのつけたしのようなものであった。

志村が総会屋は会社のダニだと言い切る場面がある。しかしこの映画を見ている限り違和感を覚える。なぜなら志村は乗っ取り防止をしたのであり、会社とgive and takeの関係にあるからだ。もちろん総会屋というのが会社の醜聞等につけこみカネをせびっていたという実態を考慮すればその通りである。しかしそういう知識のない、現代ではやや歴史的な存在になってしまった総会屋について無知な者からすると、あまり総会屋を悪者と思えない作りの映画になっているのである。これは先に述べたように総会屋は悪いものだという共通認識(それは間違いではない)を前提として成り立つ。

それにしても公開当時のポスターを見ると最初に叶順子、続いて叶の恋人役川崎敬三、三番手に志村が挙がっている。川崎などカメオ出演なみに一瞬しか出てこない。どうみても志村が主演の映画であり、タイトルではその通りになっている。当時の叶や川崎の人気って凄かったようだ。

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