2015年7月11日土曜日

イプセン『人形の家』 1879

最も有名な戯曲の一で、ともかく主人公ノラの名ほど人口に膾炙している近代劇の登場人物も少ないのではないか。

読んだことなくとも、この戯曲に対してイメージを持っている人が多いだろう。夫の人形に飽き足らず自立の道を選んで家を捨てたたノラは、女性解放、ウーマンリブの先駆者、象徴であると言ったような。

しかし何十年ぶりに読み直してそういった面からの解釈よりも、むしろ夫婦間の信頼性の問題のように読めた。ノラは夫のためと思ってしたことが、結果的に醜聞になる可能性が出てきた。その際、夫は外聞のみを気にし、最初はノラを非難するものの、穏健に収まるとわかると手のひらを返したような態度に出る。
このような夫に切れたのがノラである。

単に女性の自立とか言うと、現代では今更感があるだろう。男女の間の問題は永遠である。これを扱っているのなら読み継がれる。
杉山誠訳、河出書房版世界文学全集第22巻、昭和44

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