2024年2月7日水曜日

清水幾太郎『私の読書と人生』講談社学術文庫 昭和52年

初出は昭和24年、社会学者で評論家の清水幾太郎の自伝であり、書名にあるようにどのような読書をしてきたかに重点が置かれている。

著者は東京日本橋薬研堀の生まれである。山の手が大嫌いという。それでも同じ下町といっても、後に移り住んだ本所とは日本橋は全く違う。江戸の繁栄と趣味をとどめている日本橋と工場地帯でスラムの本所である。下町生まれを非常に意識している。後に高等学校に入ると下町の人間はおらず、山の手と「モタモタした田舎の青年たち」しかいない。それらが勤勉であると言っているが、どうしても昔の東京生まれの自尊心と言えばいいが、何か他を見下しているように見えるのである。本筋とは全く関係ない些細な点だが気になった。

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