2023年4月29日土曜日

吉川洋『高度成長』中公文庫   2012

経済学者の吉川洋による日本の高度成長期の社会の様相を描いた書である。専門が経済学だから当然この高度成長期の経済事情、要因の説明がある。それだけでなくそれ以上に当時の社会がどうであったかの記述が面白く興味深い。

目次は次の通り、「今や昔――高度成長直前の日本」「テレビがきた!」「技術革新と企業経営」「民族大移動」「高度成長のメカニズム」「右と左」「成長の光と影――寿命と公害」「おわりに――経済成長とは何だろうか」

あとがきにあるように著者の意図は、経済的分析はもちろんだが、自分がその中で生きてきた高度成長期を書いてみたかったという。高度成長期の同時代史になっている。それだからこそ興味深く読める。その時代以降の者なら資料で書くしかない。自伝が、他人の書いた伝記より面白いのに少し似ている。

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