2021年3月14日日曜日

朝を呼ぶ口笛 昭和34年

 生駒千里監督、松竹、61分、白黒映画。

新聞配達で高校へ行くための費用を稼いでいる少年とそれを取り巻く人々の物語。主人公役は加藤弘がやっており、加藤は連続テレビドラマ『まぼろし探偵』の主役をしていた。この映画の後だそうである。加藤の家は父親が事故で稼ぎが出来なくなり、高校へやる余裕がない。それで自分で金を作り夜間高校に行くつもりでいた。ところが母が病気になり、胆石と分かり手術が必要で一万円かかるという。加藤はやむなく自分の進学用にためていた金を母の手術代として差し出す。加藤の先輩格で田村高廣が出ており、大学の二部に通い、卒業後は就職してバスガールをしている恋人と一緒になるつもりだった。しかし田村は面接に落ち、恋人との将来を危ぶむ。加藤が配達している家の中で吉永小百合の家から新聞が届いていないと苦情が来る。加藤は入れた筈だと思い、誰かが盗んでいるのではないかと待ち伏せする。すると吉永の飼っていた犬が新聞をくわえて持って行ってしまっていたと分かる。

加藤は高校へ進学出来ないのに悩む。先輩の田村は誤解してなぜ高校へ行かないのか、新聞配達を辞めて町工場に勤める気になったのか、加藤を問いただすが、後に理由を知る。それで自分の本を売って加藤の資金の足しにしたいと思い、また新聞配達の仲間たちもカンパを出す。これを加藤に渡し、また高校進学が叶うようになる。田村は自分が一流会社に落ち、秋田の鉱山へ行くしかないので、恋人とその兄の前で自分は一人で行く、恋人は新しい人を見つけてくれと言って去る。しかしその後、兄や来て話し、また恋人も秋田に連れて行ってと頼む。

貧しい中、助け合って生活していく様子が見られる、かつての日本を描いた映画。吉永はそれほど出番はないものの、後の大女優なので本映画の紹介の際には必ず紹介される。本作は吉永の映画初出演だそうだ。

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