2017年2月2日木曜日

エリアーデ『マイトレイ』作品社 1999



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原書は1933年出版、ルーマニアの有名な宗教学者エリアーデによる小説である。
語り手の白人とインド人の少女との恋愛を描く。
正直、自分が歳とっているからか、あまり楽しめなかった。もっと若い時に読めば違った感想をもったかもしれない。

著者エリアーデの恋愛体験をほとんどそのまま小説にしたものだという。
細部で気になった点を挙げれば、破局のあと話が長すぎる。もっと簡潔にしたらどうか。また書かれた時期の制約であろう、語り手の白人がインド人を見る目、いかにも有色人種を文明人が見ているという所が出てくる。文学的評価とは関係ないと思うが、やはり今となっては気になる。

書かれている大部分が事実という点は正直いって一番気になる。もっと小説として脚色すべきはないか。相手及びその家族に大打撃を与えておいて相手の実名を使い、自分の悲恋を嘆く小説を売り出すのは、これもまた文学的評価と関係ないにしても、ついていけない。
以上気になるとして挙げた点は読んだ後、考えて書いたものである。別にこれらがあるからつまらないと思ったわけでない。面白いとは思えなかったので理屈を考えたのである。
 
Amazonの洋書で調べると、今英語訳は出ていないようだ。出版当時はベストセラーになったそうだが、当時のヨーロッパ人にとってエキゾチックなところが受けたのかと思ってしまう。

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